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ヒトクイマジカル 感想&作品データ

ヒトクイマジカル」(Hitokui Majikaru)

「ヒトクイマジカル」は、2003年7月5日に講談社ノベルスから刊行された、

西尾維新」によるライトノベル作品シリーズ「戯言シリーズ」の第5作目の作品。

イラストは「」が担当。2008年12月12日に文庫版が発売されている。


永遠に生き続ける少女、円朽葉をめぐる

奇怪極まりない研究のモニターに誘われた“戯言遣い”こと「ぼく」は、

骨董アパートの住人・紫木一姫と春日井春日とともに

京都北部に位置する診療所跡を訪れる―が、

そこに待ち受けていたのは凄絶な「運命」そのものだった

(出典:ウィキペディア&Amazon)

ヒトクイマジカル<殺戮奇術の匂宮兄妹> (講談社文庫)





■ ヒトクイマジカルの感想(出典:Amazon)


戯言シリーズの第5弾、6冊目。

今回は推理小説という性格は比較的薄く、

笑いありバトルありで、ライトノベルとしての性格が色濃い。

葵井巫女子(クビシメロマンチスト)、

紫木一姫(クビツリハイスクール)、

春日井春日(サイコロジカル)などのキャラが再登場して、

彼女らの個性的なキャラクターのおかげで、

笑いの要素が他のシリーズよりも格段に多くなっている。

後半では戯言シリーズの最終章であるネコソギラジカルに繋がるような伏線も現れ始め、

今までのシリーズを完結に導くような位置付けになっている。

事件が起きた時の衝撃は、戯言シリーズ中最大とも言えるほどで、

解決編も今までのシリーズとは趣が異なる。

また、主人公の人間的な感情が露見するのも、

今作の大きな魅力の一つ。

変化球のような作品ではあるが、

さすがは西尾維新、面白さのキレ味は相変わらず鋭い。




感想。まず第一にこれまでの作品と一線を画して、

ラノベ色が益々前面にでてきている印象を受けた。

第二。あぁ、この作品をもって西尾氏は最盛の期に入ったな、という気がした。

本作には前作までとは異なり、何か作者の余裕と言うかゆとりと言うか、

そういった鮮やかな「空間」の様なものを行間から感じられてならない。

逆説的ではあるが、

むしろそれがこの四百七十余貢の物語に

短篇小説並みの明確で鋭角的なまとまりを与えている。

そしてその「空間」はそのまま、

読者に微少のストレスをも感じさせない「読み易さ」を導く

ハンドルであるともまた言えよう。

こうまで読者を気分よく引っ張っていってくれる長編に出会う事は易しくない。

オートマチックドライビング。

そう。私たちは天才の用意した車のその手触りの良いハンドルを軽く掴み、

呼吸もそのままに身を任せていればそれでいいのである。

その風景を楽しみながら、時に立ち止まり、時に進路を変えつつも。

ロイヤルサルーンとかけまして西尾維新ととく。

その心は。

快適で素敵な安堵の旅をあなたに提供してくれます。

あ、カバー取って明かりに透かしてみてください。

裏側から…。感動しますよ




戯言シリーズ五作目。

死なない研究をしている木賀峰約の研究所に

アルバイトとして赴くことになったいーちゃん、一姫、春日。

そこで出会った実験体円朽葉。

そして二人で一人、殺戮奇術匂宮出夢、理澄兄妹。

さらに狐面の遊び人。

そして浅野みいこ、玖渚友、哀川潤。

様々な人物の運命を巻き込んだ物語。

今作は読んでいて鳥肌が立った。

背筋が凍ったといったほうがいいかもしれない。

いーちゃんが地獄を見た場面には。これはひどい。

これまでがひどくなかったんじゃない、これがひどすぎるんだ。

今回の殺人は辛すぎる。

傍観者でいることができない。ひどく悲しすぎた。

そして、いーちゃんに人間らしさが宿った。

本性が出た。出さされた。そして生き返った。

みいこさん、あんたは、哀川潤か。

「サイコロジカル」が難解な文章だったぶん(上だけだが)、こちらは読みやすい。

特に前半はテンポよく読めるし、後半のシリアスなシーンもどんどん読まされる。

細かい伏線(宝くじのくだり等)、色々なセクハラ、理澄との漫才まがいの会話、

ラストの崩子やらぶみ(まさかの再登場と名前)もおもしろかった。

トリックは回を重ねるごとに単純化していく。犯人なんてすぐわかる。

もうそこは問題じゃない。おもしろいのはそこじゃない。

狐面の言う物語はすでに始まりつつある。

人類最悪の遊び人、究極の意味での傍観者、いーちゃんの敵。

西東天。ああ、恐い。

初期三作を傑作と呼ぶとして、以降の作品は名作と呼ぶべきだろう。

名作「ヒトクイマジカル」。

いや、傑作のほうがいいか?

どっちでもいいか。おもしろいんだから。




叫び、叫び、叫び。………そして呟き。

シリーズを通してのひとつの「答え」が書き殴られています。

前シリーズを読んでいない方は取りあえずそちらを。

戯言シリーズの真の最高傑作。

全ページ一行ずつ、時間をかけてゆっくりと読んで下さい。




何度か読み直した今だからレビューしますが、

この作品で「戯言シリーズ」は転機を迎えます。

そして二度、三度と読み直し、そこにまた味わいが生まれます。

お話は例によって謎解き要素も無ければミステリ要素も無い、

荒唐無稽な西尾小説ですが、

何でしょう、この読後のアオられかたは。

ぐいぐい引っ張ってくれますよ、この作品。

あ、表紙カバーは裏返すこと。



サイコロジカル 下 (講談社文庫 に 32-5 西尾維新文庫) ネコソギラジカル(上) 十三階段 (講談社文庫) サイコロジカル 上 (講談社文庫 に 32-4 西尾維新文庫)




■ 戯言シリーズの感想